入管法の改正(特定技能)について

令和元年6月25日  発行

2019年4月1日から「出入国管理及び難民認定法」(以下、「入管法」といいます)が改正され、これまで28種類だった在留資格に新たに「特定技能」が加わりました。これにより、今までは単純労働とみなされ、在留資格が認められなかった業務に従事させることが可能になります。今月号では、改正された入管法のうち、特定技能の内容について解説します。

1.新設された「特定技能」とは

◆ 人材不足が深刻な「特定産業分野」において就労が可能となる在留資格で、「特定技能1号」、「特定技能2号」の2つがあります。

特定技能1号

・特定産業分野(14分野)で相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する在留資格

・在留期間は1年、6ヶ月、又は4ヶ月ごとの更新(更新の通算上限5年間)

試験によって技能水準と日本語能力水準が確認された人または、技能実習2号を良好に修了した人が対象

※ 技能実習2号の修了者は無試験で特定技能1号の在留資格を得ることができます

・各分野における受入人数の上限(停止措置)あり

特定技能2号

・特定産業分野で熟練した技能を要する業務に従事する在留資格

※ 当面の間、受け入れは「建設業」「造船・舶用工業」の2業種限定となります

・在留期間は3年、1年、又は6ヶ月ごとの更新(更新の通算上限はありません)

試験による技能水準が確認された人が対象

【就労資格の技能水準】











就労が認められる在留資格
専門的・技術的分野
「技術・人文知識・国際業務」「高度専門職」「経営・管理」
「介護」「技能」など
特定技能2号
特定技能1号
技能実習(1号~3号)

【上記技能水準等の確認試験開始時期】

◆ 特定技能1号に必要な技能水準と日本語能力水準を
確認する試験

・ 介護・宿泊・外食:2019年4月~

・ 飲食料品製造:2019年10月~

・ ビルクリーニング:2019年秋~

・ その他9業種:2020年3月までに開始

◆ 特定技能2号に必要な技能水準を確認する試験

・2021年度開始予定

2.特定技能1号の業務内容と受け入れ見込み数

◆ 「特定技能」は日本人の雇用を圧迫しないようにするため、5年間で約34万人という受け入れ上限が設けられています。
特定産業分野ごとの業務内容と受け入れ見込み数は以下のとおりです。

  特定産業分野 受入れ
見込数
従事する主な業務(抜粋)
1 介護 60,000人 ・身体介護等のほか、これに付随する支援業務 ※訪問系サービスは対象外
2 ビルクリーニング 37,000人 ・建築物内部の清掃
3 素形材産業 21,500人 ・鋳造 ・金属プレス加工 ・溶接 ・鍛造 ・工場板金 ・機械検査 ・ダイカスト ・めっきなど
4 産業機械製造業 5,250人 ・鋳造 ・塗装 ・電気機器組み立て ・溶接 ・鍛造 ・鉄工 ・プリント配線板製造 など
5 電気・電子情報
関連産業
4,700人 ・機械加工 ・プリント配線板製造 ・工業包装 ・金属プレス加工 ・プラスチック成形 など
6 建設 40,000人 ・型枠施工 ・土工 ・内装仕上げ/表装 ・左官 ・屋根ふき ・コンクリート圧送 ・電気通信など
7 造船・舶用工業 13,000人 ・溶接 ・仕上げ ・塗装 ・機械加工 ・鉄工 ・電気機器組み立て
8 自動車整備 7,000人 ・自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備
9 航空 2,200人 ・航空グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務等) ・航空機整備
10 宿泊 22,000人 ・フロント、企画、広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供
11 農業 36,500人 ・耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷、選別等)
・畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷、選別等)
12 漁業 9,000人 ・漁業(水産動植物の探索、採捕など) ・養殖業(養殖水産物の育成管理、収獲など)
13 飲食料品製造業 34,000人 ・飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生)
14 外食業 53,000人 ・外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)