1. 母性健康管理措置とは
男女雇用機会均等法により、妊娠中・出産後1年以内の女性労働者が、保健指導・健康診査の際に主治医や助産師から指導を受け、会社に申し出た場合、その指導事項を守ることができるようにするために必要な措置(通勤緩和・休憩、作業の制限・勤務時間の短縮・休業等)を講じることが会社に義務付けられています。
2. 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置について
(1)対象期間
→ 令和2年5月7日から令和3年1月31日までの時限的な措置になります。
( 新型インフルエンザ等対策特別措置法において新型コロナウイルス感染症を適用対象とする暫定措置の期限を踏まえて設定 )
(2)措置内容
→ 妊娠中の女性労働者が、保健指導・健康診査を受けた結果、その作業等における新型コロナウイルス感染症への感染のおそれに関する心理的なストレスが母体または胎児の健康保持に影響があるとして、主治医や助産師から指導を受け、それを会社に「母性健康管理指導事項連絡カード※」等を利用して申し出た場合、会社は、この指導に基づいて必要な措置(作業の制限、在宅勤務や休業等)を講じなければなりません。
※ 「母性健康管理指導事項連絡カード」とは、女性労働者が会社に医師等の指導事項を的確に伝えられるよう利用する様式になります。
この様式は厚生労働省HP「女性にやさしい職場づくりナビ」からダウンロードできます。また、ほとんどの母子健康手帳にも様式が記載されています。
(3)罰則
→ 会社は、母性健康管理の措置を講じる義務があります。こうした措置が講じられず、是正指導にも応じない場合、会社名公表の対象に
なります。
(4)その他注意事項
→ 男女雇用機会均等法により、母性健康管理措置を求めたことやこれを受けたことを理由とする解雇等不利益取扱いは禁止されています。
→ 職場におけるマタニティハラスメントには、母性健康管理措置を求めたことやこれを受けたこと等を理由とするものも含まれ、
会社はこれを防止するための措置を講じることが義務付けられています。
【母性健康管理措置のQ&A】
【Q1】妊産婦検診を受けた女性労働者より、医師等の指導に基づき、
休業の申し出があった場合、休業を断ることができますか?
また、休業させる場合の賃金の取扱いはどうなりますか?
【A1】医師等の指導に基づき、女性労働者より休業の申し出があった場合、その指導事項を守ることができるようにするための措置を講じることが会社の義務となりまので、休業の申出を断ることはできません。
休業中の賃金については、会社の判断に任されています。労使で十分に話し合って決めることが望ましいです。
【Q2】母性健康管理に関する措置の対象者にパートタイム労働者等も含まれますか?
【A2】母性健康管理に関する措置は、労働者の健康に直接かつ重大な関係があるものですから、就業形態を問わず、パートタイム労働者や派遣労働者や有期契約労働者についても、母性健康管理の措置の対象になります。
なお、派遣労働者については、派遣元事業主および派遣先事業主のいずれについても母性健康管理の措置義務があります。