子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得について

令和2年9月25日  発行

令和3年1月1日より、育児や介護を行う労働者が子の看護休暇や介護休暇を柔軟に取得することができるよう、育児・介護休業法施行規則等が改正され、
時間単位で取得できるようになります。今月号ではこの内容について解説します。

1. 改正のポイント

【改正前】

〇 半日単位での取得が可能

〇 1日の所定労働時間が4時間以下の
労働者は取得できません

矢印

【改正後】

〇 時間単位での取得が可能

〇 すべての労働者が取得できます

〇「時間」とは、1時間の整数倍(1,2,3・・)の時間をいい、労働者の申し出に応じ、労働者の希望する時間数で取得できるようにする必要があります。

〇 法令で求められているのは、いわゆる「中抜け」(※)なしの時間単位休暇です。

・ 法を上回る制度として「中抜け」ありの休暇取得を認めるように配慮することが求められます。

・ 既に「中抜け」ありの休暇を導入している会社が、「中抜け」なしの休暇にすることは、労働者にとって不利益な労働条件の変更になりますので、ご注意ください。

※ 中抜けとは、就業時間の途中から時間単位の休暇を取得し、就業時間の途中に再び戻ることをいいます。

2. 就業規則の規定例(子の看護休暇の場合) ※介護休暇も同様の改定が必要です。

第〇条

1. 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話をするために、又は当該子に予防接種や健康診断を受けさせるために、就業規則第〇条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年の3月31日までの期間とする。

2. 子の看護休暇は、時間単位で始業時刻から連続又は終業時刻まで連続して取得することができる。

3. 労使協定を締結する際の注意点

子の看護休暇や介護休暇を時間単位で取得することが困難な業務がある場合は、労使協定を締結することにより、時間単位の休暇制度の対象からその業務に従事する労働者を除外することができます。困難な業務の範囲は労使で十分に話し合って決める必要があります。

【子の看護休暇や介護休暇の時間単位での取得についてQ&A】

【Q1】時間単位で看護・介護休暇を取得する場合、何時間分の休暇で「1日分」の休暇になりますか。

【A1】時間単位で看護・介護休暇を取得する場合は、休暇を取得した時間数の合計が1日の所定労働時間に相当する時間数になるごとに「1日分」の休暇を取得したものとして扱います。
この場合、1日の所定労働時間数に1時間に満たない端数がある場合は、端数を時間単位に切り上げる必要があります。例えば、1日の所定労働時間数が7時間30分の場合、時間単位で看護・介護休暇を取得する場合は、「30分」という端数を切り上げて、8時間分の休暇で「1日分」となります。

【Q2】例えば勤務時間が9:00~17:45(休憩12:00~13:00)の労働者が、終業時刻に近接した時間帯に1時間の時間単位の看護・介護休暇を取得する場合の1時間の区切り方はどのようになりますか。

【A2】「時間単位」とは、始業時刻から連続し、又は終業時刻まで連続する時間単位を指すことから、終業時刻から遡った1時間である16:45~17:45までの1時間となります。

※ 例えば16:45~17:45までの1時間の看護・介護休暇取得の申出をし、実際には17:00~17:45までのように1時間に満たない時間を休んだ場合でも1時間の看護・介護休暇を取得したものとして処理しても差し支えありません。ただし、労働者が休んだ時間分の賃金を控除する場合には、実際に休んだ時間を超えて控除することはできません。