1. 育児休業中の就労についての注意点
〇 恒常的・定期的に就労させる場合は、育児休業をしていることにはなりません。労使の話し合いにより、子の養育する必要のない期間に限り、
一時的・臨時的に就労させることができます。
〇 従業員が自ら会社の求めに応じて、合意することが必要です。(会社の一方的な指示により就労させることはできません。)
〇 会社は、育児休業中に就労しなかったことを理由として、不利益な取り扱い(人事考課において不利益な評価をするなど)を行ってはなりません。
また、上司や同僚からのハラスメントが起きないように、雇用管理上必要な措置を講ずる必要があります。
2. 育児休業中の一時的・臨時的に就労する場合の具体的な事例(※ 下記は例示であり、これら以外でも該当する場合があります。)
【一時的・臨時的に就労する場合に該当する例】
① 育児休業開始当初は、従業員Aは育児休業期間中に出勤することを予定していなかったが、自社製品の需要が予期せず増大し、一定の習熟が必要な
作業の業務量が急激に増加したため、スキル習得のための数日間の研修を行う講師業務を会社が依頼し、Aが合意した場合。
② 従業員Bの育児休業期間中に、限られた少数の従業員にしか情報が共有されていない機密性の高い事項に関わるトラブルが発生したため、当該事項の
詳細や経緯を知っているBに、一時的なトラブル対応を会社が依頼し、Bが合意した場合。
③ 従業員Cの育児休業期間中に、トラブルにより会社の基幹システムが停止し、早急に復旧させる必要があるため、経験豊富なシステムエンジニア
であるCに対して、修復作業を会社が依頼し、Cが合意した場合。
④ 災害が発生したため、災害の初動対応に経験豊富な労働者Dに、臨時的な災害の初動対応業務を会社が依頼し、Dが合意した場合。
⑤ 従業員Eは育児休業の開始当初は全日を休業していたが、一定期間の療養が必要な感染症がまん延したことにより生じた従業員の大幅な欠員状態が
短期的に発生し、一時的にEが得意とする業務を遂行できる者がいなくなったため、テレワークによる一時的な就労を会社が依頼し、Eが合意した
場合。
【一時的・臨時的に就労する場合に該当しない例】
① 従業員Fが育児休業開始当初より、あらかじめ決められた1日4時間で月20日間勤務する場合や、毎週特定の曜日または時間に勤務する場合。
3. 育児休業給付金との調整について
育児休業期間中に就業した場合は、申告が必要です。就業している日が10日を超えて、かつ就業している時間が80時間を超える場合は、
育児休業給付金は支給されません。また育児休業期間中に賃金が支払われた場合は下記の通りとなります。
【各支給単位期間※1の支給額について】
① 休業開始時賃金日額×支給日数×67%(50%※2)
※1 「支給単位期間」とは、原則として育児休業を開始した日から起算した1カ月ごとの期間をいいます。
※2 育児休業の開始から6カ月経過後は、50%になります。
【各支給単位期間に支払われた賃金がある場合の支給額について】
① 賃金※3が賃金月額の13%(30%※4)を超えて80%未満の場合
→【賃金月額×80%】と賃金の差額が支給額となります。(減額支給となります。)
② 賃金が賃金月額の80%以上の場合
→ 支給されません。
※3 「賃金」とは、育児休業期間中に支払われた賃金を指しますが、賃金月額の13%(30%※4)以下の場合は
減額支給等はありません。
※4 育児休業給付金の給付率が50%の場合は、13%ではなく、30%になります。