短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大について

令和3年5月25日  発行

2022年10月1日から、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用対象とする企業の規模要件が段階的に引き下がり、パート・アルバイトの方の社会保険適用が拡大されていきます。今月号ではこの内容について解説します。

1. 社会保険の加入条件が段階的に拡大される対象企業について

【対象企業(特定適用事業所)】

⇒下記の通り段階的に対象となる企業が拡大されます。

改正解説図

【従業員数のカウント方法】

⇒ フルタイムの従業員数 + 週の所定労働時間と月の所定労働日数がフルタイムの3/4以上の従業員数との合計
(パート・アルバイト含む厚生年金保険の適用対象者)

※ 原則として、対象企業となる従業員数の基準を常時上回る場合には適用対象になります。自主的に判断し速やかに手続きしてください。
なお、直近12カ月のうち6カ月で基準を上回った場合は、日本年金機構において適用します。

2. 加入対象者について

【加入対象者】

下記要件①~④のすべての要件を満たすパート・アルバイトの方が対象になります。

【要件①】 週の所定労働時間が20時間以上あること

※ 契約上の所定労働時間であり、残業時間は含みません

※ 契約上20時間に満たない場合でも、実労働時間が2カ月連続で週20時間以上となり、なお引き続くと見込まれる場合
には、3カ月目から保険加入とします。

【要件②】 雇用期間が2カ月を超えて見込まれること(2022年10月から

※ 2022年9月までは1年以上見込まれること

【要件③】 月額賃金が88,000円以上であること

⇒基本給及び諸手当を指します。下記の賃金等は該当しません

※ 1月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)

※ 時間外労働、休日労働及び深夜労働に対して支払われる賃金(割増賃金等)

※ 最低賃金に算入しない賃金(精皆勤手当、通勤手当、家族手当)

【要件④】 学生でないこと

※ 休学中や夜間学生は加入対象になります

【健康保険・厚生年金保険の適用拡大についてQ&A】

【Q1】事前にどのような準備が必要になりますか。

【A1】 ① 短時間労働者で、被保険者となっていない従業員の労働条件を確認し、加入対象者の把握を行う。

② 新たに社会保険へ加入対象者となる従業員へ、法律改正の内容が正しく伝わるよう社内イントラやメール等を活用し社内周知を行う。

③ 加入対象者から扶養の範囲内で労働条件を抑えて働きたい等の要望も出ることが予想されるため、必要に応じて説明会や個人面談を行う。

【Q2】1週間の所定労働時間の算出方法について、下記①②の
場合どのように算出しますか。

① 所定労働時間が1カ月単位で定められている場合

② 所定労働時間が1年単位で定められている場合

【A2】 ① 1カ月の所定労働時間を12分の52で除して計算します。

(1年間を52週とし、1カ月を12分の52週として計算)

② 1年の所定労働時間を52で除して計算します。

(1年間を52週として計算)