「シフト制」労働者の雇用管理を適切に行うための留意事項について

令和4年3月25日  発行

「シフト制」には、その時々で柔軟に労働日・労働時間を設定できるという点で労使共にメリットがあり得る一方で、会社都合によるシフトの多寡によってトラブルが発生することがあります。今月号では、このようなトラブルを未然に防ぐため厚生労働省が作成した「シフト制」労働者の雇用管理を適切に行うための留意事項について解説します。

※ この留意事項での「シフト制」とは、労働契約締結時点では労働日や労働時間を明確に定めず、一定期間(1か月など)ごとに作成される勤務シフトなどで、初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような勤務形態を指します。

1,シフト制労働契約の締結にあたっての留意事項

(1)労働契約締結時の労働条件明示義務について、シフト制労働契約締結時は、特に下記①②に留意してください。

① 「始業・終業時刻」

⇒ 労働契約締結時点で、すでに始業・終業の時刻が確定している場合は、労働条件通知書などに「シフトによる」と記載するだけでは不足しています。労働日ごとの始業・終業時刻を明記するか、原則的な始業・終業時刻を記載した上で、労働契約締結と同時に定める一定期間分のシフト表等を併せて労働者に交付する必要があります。

② 「休日」

⇒ 具体的な曜日等が確定していない場合でも、休日の設定にかかる基本的な考え方などを明記する必要があります。

(2)シフト制労働契約で定めることが考えられる事項について

⇒ 労働条件の明示事項に加えて、トラブルを防止する観点から、シフトの作成・変更・設定方法についても、労使で話し合って以下のような
ルールを定めておくことが考えられます。(作成・変更のルールは、就業規則等で一律に定めることも考えられます。)

作成

● シフトの作成時に、事前に労働者の意見を聞くこと

● シフトの通知期限と方法 例:毎月〇日、電子メール等で通知

変更

● (シフト期間開始前)確定したシフトの労働日、労働時間を変更する場合の申出の期限や手続き

● (シフト期間開始後)確定していたシフトの労働日、労働時間をキャンセル、変更する場合の期限や手続き

※ 確定した労働日、労働時間等を変更する場合は、会社と労働者双方の合意が必要である点に留意してください。

設定

労働者の希望に応じて以下の内容について事前に合意することも考えられます。

● 一定の期間中に労働日が設定される最大の日数、時間数、時間帯(例:毎週月、水、金曜日から勤務する日をシフトで指定する)

● 一定の期間中の目安となる労働日数、労働時間数(例:1か月〇日程度勤務/1週間当たり平均〇時間勤務)

● これらに併せて一定の期間において最低限労働する日数、時間数(例:1か月〇日以上勤務/少なくとも毎週月曜日はシフトに入る。)

2,シフト制労働者を就業させる際の注意点

(1)労働時間、休憩について

① 労働時間の上限は原則1日8時間、1週40時間であり、この上限を超えて働かせるには、36協定の締結・届出が必要です。また、就業規則や労働契約に時間外労働や休日労働をさせることができる旨の定めがあることが必要です。

② 1日の労働時間(残業時間含む)が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を勤務時間の途中で与えなければなりません。

(2)年次有給休暇について

⇒ 所定労働日数、労働時間数に応じて、シフト制労働者であっても法定の日数の年次有給休暇が発生します。会社は、原則として労働者の請求する時季に年次有給休暇を取得させなければなりません。「シフトの調整をして働く日を決めたのだから、その日に年休は使わせない」といった取り扱いは認められません。

(3)休業手当について

⇒ シフト制労働者を、使用者の責めに帰すべき事由で休業させた場合は、平均賃金の60%以上の支払いが必要です。

3,シフト制労働者の安全、健康確保、社会保険、労働保険

(1)安全、健康確保について

⇒ 労働安全衛生法に基づく安全衛生教育や健康診断の実施などの義務は、シフト制労働者に対しても同様に適用されます。

(2)社会保険・労働保険について

⇒ シフト制労働者も労災保険の適用、給付の対象です。また労働時間などの要件を満たせば、雇用保険や健康保険・厚生年金保険の被保険者
にもなります。