年金制度改正法について

令和4年4月25日  発行

今月号では、令和4年4月1日より施行された年金制度の主な改正内容について解説します。

1.65歳未満の被保険者の在職老齢年金制度の見直し

⇒ 65歳未満の被保険者の在職老齢年金について、年金の支給が停止される基準が見直され、緩和されました。

【令和4年3月以前】

総報酬月額相当額※1と老齢厚生年金の基本月額※2の合計が

「28万円」以下の場合→支給停止は行われない

「28万円」を超える場合→全部または一部支給停止


改正

【令和4年4月以降】

総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が

47万円」以下の場合→支給停止は行われない

47万円」を超える場合→全部または一部支給停止

【令和4年4月以降の支給停止額計算方法】※ 65歳以後の在職老齢年金と同じ計算方法になります。

総報酬月額相当額と基本月額の合計額が47万円以下の場合

支給停止額=0円(全額支給)

総報酬月額相当額と基本月額の合計額が47万円を超える場合

支給停止額
=(総報酬月額相当額+基本月額-47万円)×1/2×12

※1 総報酬月額相当額 ⇒(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

※2 基本月額 ⇒ 加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生年金の月額

2.在職定時改定の導入

⇒ 老齢厚生年金の受給者が厚生年金保険の被保険者となった場合、年金を受給しながら働く方の経済基盤の充実を図る観点から、
在職中であっても年金額が毎年定時に改定されることになりました。

【令和4年3月まで】

65歳以降の被保険者期間は資格喪失時(退職時・70歳到達時)にのみ年金額を改定


改正

【令和4年4月から】

在職中であっても年金額を毎年10月分から改定

【在職定時改定の仕組み】

〇 基準日(毎年9月1日)において被保険者である老齢厚生年金の受給者の年金額について、前年9月から当年8月までの被保険者期間を
算入し、基準日の属する月の翌月(毎年10月)分の年金から改定されます。

〇 対象者となるのは65歳以上70歳未満の老齢厚生年金の受給者になります。
⇒ 65歳未満の方は繰上げ受給をされている方であっても在職定時改定の対象とはなりません。

【図解:在職中であっても下記の通り毎年10月に前年9月から当年8月までの被保険者期間が年金額に反映されます。】

在職中であっても下記の通り毎年10月に前年9月から当年8月までの被保険者期間が年金額に反映されます。

3.年金手帳から基礎年金番号通知書への切替え

⇒ 令和4年4月1日以降、国民年金または厚生年金保険に初めて加入する方には、年金手帳に替わって「基礎年金番号通知書」が発行されます。
すでに年金手帳をお持ちの方には、「基礎年金番号通知書」は発行されません。

【基礎年金番号通知書の様式】

基礎年金番号通知書の様式

※ 会社を通じて提出された届書等に基づき発行された「年金手帳」は会社宛に送付されておりましたが、令和4年4月以降、「年金手帳」に
替わって発行する「基礎年金番号通知書」は、原則として被保険者宛に送付されます。