女性活躍推進法に関する制度改正について

令和4年8月25日  発行

令和4年7月8日に女性活躍推進法に関する制度改正があり、情報公表項目に「男女の賃金の差異」が追加され、常時雇用する労働者が301人以上の企業については当該項目の公表が義務化、また、常時雇用する労働者が101人以上300人以下の企業については、選択できる情報公表項目に当該項目が追加されました。今月号ではこの内容について解説します。

【女性の活躍に関する情報公表が義務づけられている対象企業】

(1)常時雇用する労働者※1301人以上の企業

(2)常時雇用する労働者※1101人以上300人以下の企業(令和4年4月1日より義務化)

※ 1「常時雇用する労働者」とは、雇用契約の形態を問わず下記①②のいずれかに該当する労働者を指します。

① 期間の定めなく雇用されている者

② 過去1年以上の期間について引き続き雇用されている者または、雇入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者

【今回改正された公表義務の内容】

〇 上記(1)の対象企業は、以下のA~Cの3項目の情報を公表する必要があります。

●「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」に関する実績

⇒「A:以下【図1】の8項目から1項目選択」+「B:以下【図1】⑨男女の賃金の差異(必須)※ 新設」

●「職業生活と家庭生活との両立」に資する雇用環境の整備に関する実績

⇒「C:以下【図2】の7項目から1項目選択」

〇 上記(2)の対象企業は、以下【図1】・【図2】の16項目から任意の1項目以上の情報を公表する必要があります。

【各区分の情報公表項目】

【図1】「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」
以下の①~⑧の8項目から1項目選択
+
⑨の項目(必須)※ 新設
【図2】「職業生活と家庭生活との両立」
以下の7項目から1項目選択
※ 従来通り

① 採用した労働者に占める女性労働者の割合

② 男女別の採用における競争倍率

③ 労働者に占める女性労働者の割合

④ 係長級にある者に占める女性労働者の割合

⑤ 管理職に占める女性労働者の割合

⑥ 役員に占める女性の割合

⑦ 男女別の職種または雇用形態の転換実績

⑧ 男女別の再雇用または中途採用の実績

⑨ 男女の賃金の差異
(必須)
※ 新設

+

① 男女の平均勤続勤務年数の差異

② 10事業年度前およびその前後の事業年度に
採用された労働者の男女別の継続雇用割合

③ 男女別の育児休業取得率

④ 労働者の一月当たりの平均残業時間

⑤ 雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの
平均残業時間

⑥ 有給休暇取得率

⑦ 雇用管理区分ごとの有給休暇取得率

※「男女の賃金の差異」は、男性労働者の賃金の平均に対する女性労働者の賃金の平均を割合(パーセント)で示します。

※「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の区分での公表が必要です。

【「男女の賃金の差異」の情報公表のイメージ】

区分 男女の賃金の差異
(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)

付記事項(例)

・対象期間:●●事業年度(●年●月●日~●年●月●日)

・正社員:社外への出向者を除く

・パート・有期社員:契約社員、アルバイト、パートが該当

・賃金:通勤手当等除く

※ 小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位まで表示

※ 計算の前提とした重要事項を付記

(対象期間、対象労働者の範囲、「賃金」の範囲等)

全労働者 〇〇.〇%
正社員 〇〇.〇%
パート・有期社員 〇〇.〇%

【制度改正により追加された「男女の賃金の差異」の情報公表時期(上記(1)の企業)】

初回「男女の賃金の差異」の情報公表は、施行(令和4年7月8日)後に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね
3か月以内に公表する必要があります。