資金移動業者の口座への賃金支払に関するQ&A

令和5年2月25日  発行

キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用するニーズも一定程度見られることも踏まえ、令和5年4月1日より、会社が従業員の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(以下、「賃金のデジタル払い」という。)が施行されることになりました。今月は賃金のデジタル払いの概要についてQ&A形式で解説します。

【Q1】賃金のデジタル払いは必ず実施しないといけないですか。

【A1】 賃金のデジタル払いは、賃金の支払・受取の選択肢の1つです。賃金のデジタル払いを希望しない会社及び従業員に対して強制するものではありません。会社と従業員の双方が希望する場合に限り、賃金の支払い方法として、賃金のデジタル払いが可能になります。

【Q2】賃金のデジタル払いを選択した場合、ポイントや仮想通貨などで賃金が支払うことはできますか。

【A2】 現金化できないポイントや仮想通貨での賃金支払は認められません。

【Q3】いつから賃金のデジタル払いが可能になりますか。

【A3】 下記(1)~(4)をご確認ください。

(1) 省令が施行される令和5年4月1日から、厚生労働大臣への資金移動業者指定申請が開始されます。

(2) 申請を受け付けた後、厚生労働省で審査を行い、基準を満たしている場合にはその事業者を指定します。
この審査には数か月かかることが見込まれます。指定した際には、速やかに指定された資金移動業者に関する下記情報が掲載される予定です。

【指定された資金移動業者に関する情報】

・ 資金移動業者の名称

・ 資金移動サービスの名称

・ 資金保全の仕組みに関する情報

・ 従業員からの同意取得時に記載が必要な情報 等

(3) その後、会社で賃金のデジタル払いを行う場合には、利用する指定資金移動業者などを内容とする労使協定を締結する必要があります。
(詳細はQ4をご参照ください。)

(4) その上で、従業員は賃金のデジタル払いの留意事項の説明を聞き、理解した上で賃金のデジタル払いを希望する場合には、会社に同意書を提出することが必要です。この同意書に記載する支払開始希望時期以降、賃金を賃金移動業者の口座で受け取ることができるようになります。

(※  同意書については厚生労働省HP「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について」の様式例をご参照ください。)

【Q4】賃金のデジタル払いを開始するために、事業場で必要な手続きはありますか。

【A4】 事業場に従業員の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合と、ない場合は従業員の過半数を代表する者と、下記①~④の項目を記載した労使協定を締結する必要があります。

【労使協定で締結する項目】

①  口座振込み等の対象となる労働者の範囲

②  口座振込み等の対象となる賃金の範囲及びその金額

③  取扱金融機関、取扱証券会社及び取扱指定資金移動業者の範囲

④  口座振込み等の実施開始時期

また、賃金に関わることになりますので、就業規則の改定も必要になります。その上で賃金のデジタル払を希望する個々の従業員は、留意事項の説明を受け、制度を理解した上で、同意書に賃金のデジタル払いで受け取る賃金額や、資金移動業者口座番号、代替口座情報等を記載して、会社へ提出することが必要になります。

【Q5】賃金のデジタル払いを選択するために留意すべき事項はありますか。

【A5】 【従業員の留意事項】
資金移動業者口座は「預金」するためではなく、支払や送金に用いるためであることを理解の上、支払等に使う見込みの額を受け取るようにしてください。

【会社側の留意事項】
従業員に対して賃金のデジタル払いを賃金受取方法として提示する際は、銀行口座か証券総合口座を選択肢としてあわせて提示する必要があります。また、下記①~⑤の留意事項について説明する必要があります。

①  資金移動業者口座への資金について

②  資金移動業者が破錠した場合の保証について

③  資金移動業者口座の資金が不正に出金等された場合の補償について

④  資金移動業者口座の資金を一定期間利用しない場合の債権について

⑤  資金移動業者口座の資金の換金性について

(※  詳細については厚生労働省HP「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について」の同意書様式例裏面をご参照ください。)