障害者の法定雇用率引き上げ等について

令和5年5月25日  発行

従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者、知的障害者、精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。
令和6年4月以降から、この「法定雇用率」が段階的に引き上げられます。また除外率については、令和7年4月1日から引き下げられます。
今月号ではこの内容やその他の変更点について解説します

【障害者雇用制度の令和5年4月以降の変更点】

(1) 令和6年4月以降、障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられます。

【現在の法定雇用率と今後の推移】

令和5年度 令和6年4月 令和8年7月
民間企業の法定雇用率 2.3% 2.5% 2.7%
対象事業主の範囲(従業員数) 43.5人以上 40.0人以上 37.5人以上

※ 障害者を雇用しなければならない対象事業主には、下記の義務があります。

① 毎年6月1日時点での障害者雇用状況のハローワークへの報告

② 障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」の選任(努力義務)

(2) 令和7年4月1日から除外率が引き下げられます。

除外率設定業種 除外率
~令和7年3月31日 令和7年4月1日~

・非鉄金属製造業(非鉄金属第一次製錬精製業を除く。)・倉庫業 ・航空運輸業

・船舶製造・修理業、船用機関製造業 ・国内電気通信業(電気通信回線設備を設置して行う
ものに限る。)

5% 対象外

・窯業原料用鉱物鉱業(耐火物・陶磁器・ガラス・セメント原料用に限る。)

・採石業、砂・砂利・玉石採取業 ・水運業 ・その他の鉱業

10% 対象外

・非鉄金属第一次製錬・精製業 ・貨物運送取扱業(集配利用運送業を除く。)

15% 5%

・建設業 ・鉄鋼業 ・道路貨物運送業 ・郵便業(信書便事業を含む。)

20% 10%

・港湾運送業

25% 15%

・鉄道業 ・医療業 ・高等教育機関

30% 20%

・林業(狩猟業を除く。)

35% 25%

・金属鉱業 ・児童福祉事業

40% 30%

・特別支援学校(専ら視覚障害者に対する教育を行う学校を除く。)

45% 35%

・石炭・亜炭鉱業

50% 40%

・道路旅客運送業 ・小学校

55% 45%

・幼稚園 ・幼保連携型認定こども園

60% 50%

・船員等による船舶運航等の事業

80% 70%

(3) 障害者雇用における障害者の算定方法が変更になります。

〇 精神障害者の算定特例の延長(令和5年4月以降)

週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者について、当分の間、雇用率上、雇入れからの期間等に関係なく、
1カウントとして算定できるようになります。

〇 一部の週所定労働時間20時間未満の方の雇用率への算定(令和6年4月以降)

週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者及び重度知的障害者について、雇用率上、
0.5カウントとして算定できるようになります。