副業・兼業における労働時間の通算について

令和5年6月25日  発行

会社も労働者も安心して副業・兼業を行えるようにするためには、副業・兼業を行うことで、長時間労働にならないようにする必要があります。
そのためには、会社は、自社の労働時間を、副業・兼業先の労働時間と通算するなど適切な労務管理を行うことが大切です。今月号ではこの内容に
ついて解説します。

1.基本事項

(1)副業・兼業における労働時間の通算について

〇 労働基準法において、労働者が企業に雇用される形での副業・兼業を行った場合、労働時間を通算します。

(※ 副業・兼業先がフリーランス等の場合については、労働時間は通算されません。
また、副業・兼業先において、管理監督者など労働時間規制が適用されない場合は、労働時間は通算されません。)

〇 会社は、労働者の自己申告等で、副業・兼業先での労働時間を把握し、自社での労働時間と通算します。

(※ 他の会社の事業場での労働時間について、労働者からの申告等がなかった場合には労働時間の通算は不要と
なりますが、適切な労務管理を行うためにも、労働者が自己申告等をしやすい環境づくりが大切です。)

〇 休日、休憩、年次有給休暇については、その適用において自社における労働時間及び他の会社の事業場における労働時間は通算されません。

〇 副業・兼業先での労働時間を自社の労働時間と通算した結果、自社での労働が、1週40時間または1日8時間を超える法定外労働に当たる場合、36協定の締結、届出、時間外労働に対する割増賃金の支払いが必要になります。

〇 さらに、自社と副業・兼業先での法定外労働時間と休日労働の時間を通算して、毎月100時間未満、どの2ヶ月から6か月の平均をとっても
1か月あたり80時間以内
とする必要があります。

(2)その他の制度における労働時間の通算について

〇 社会保険(健康保険、厚生年金保険)については、その適用において自社における労働時間及び他の会社の事業場における労働時間は通算されません。

2.原則的な労働時間の通算の考え方

労働時間の通算は、原則的には以下の手順で行います。

ステップ1:所定労働時間の通算 ⇒ 所定労働時間は、先に契約をした方から、後に契約をした方の順に通算します。

【会社A⇒先契約、会社B⇒後契約とした事例の場合】

所定労働時間 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
通算順①:会社A 5時間 5時間   5時間 5時間
通算順②:会社B 4時間 2時間 4時間 2時間 4時間
所定労働時間の通算 9時間 7時間 4時間 7時間 9時間

→ 通算の結果、月曜日、金曜日で、会社Bの所定労働時間のうち1時間が法定労働時間(1日8時間)を超えており、法定外労働に該当します。

ステップ2:所定外労働時間の通算 ⇒ 所定外労働時間は、実際に所定外労働が行われた順に通算します。

【ステップ1の事例で、会社A⇒先労働、会社B⇒後労働とし、労働者の実際の労働時間が以下の場合】

所定労働時間 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
通算後の所定労働時間③ 9時間 7時間 4時間 7時間 9時間
所定労働時間 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
通算順④:会社A   1時間   2時間  
通算順⑤:会社B   1時間      
1日の労働時間の通算
(③+④+⑤)
9時間 9時間 4時間 9時間 9時間
法定外労働時間 1時間 1時間   1時間 1時間

→ 通算の結果、火曜日では、会社Bの所定外労働1時間が、木曜日では会社Aの所定外労働のうち1時間が、それぞれ法定労働時間(1日8時間)を超えた労働に当たり、法定外労働に該当します。