募集時などに明示すべき労働条件について

令和5年7月25日  発行

職業安定法施行規則が改正され、2024年4月から、自社ホームページでの労働者の募集や求人広告の掲載、ハローワーク等への求人の申込みの際、
明示しなければならない労働条件が追加されます。
今月号ではこの内容について解説します。

1. 追加される明示事項について

求職者等に対して明示しなければならない労働条件に、以下の事項が追加されます。

(1)従事すべき業務の変更の範囲

(2)就業場所の変更の範囲

(3)有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限含む)

※「変更の範囲」とは、雇入れ直後にとどまらず、将来の配置転換など今後の見込みも含めた、締結する労働契約の期間中における変更の範囲のことをいいます。

2. 最低限明示しなければならない労働条件     今回の改正で追加される明示事項

記載が必要な項目 記載例
業務内容

(雇入れ直後)一般事務 (変更の範囲) 〇〇事務 

記載例①:(雇入れ直後)法人営業 (変更の範囲)製造業務を除く当社業務全般

記載例②:(雇入れ直後)経理   (変更の範囲)法務の業務

契約期間

期間の定めあり(2024年4月1日~2025年3月31日)

契約の更新 有(〇〇により判断する)

更新上限 有(通算契約期間の上限 〇年 /更新回数の上限 〇回)

記載例①:契約の更新 有(契約期間満了時の業務量、勤務成績により判断)※
通算契約期間は4年を上限とする。

記載例②:契約の更新 有(自動更新にする)
契約の更新回数は3回を上限とする。

※「諸般の事情を総合的に考慮したうえで判断する」というような抽象的なものではなく、「勤務成績、態度
により判断する」、「会社の経営状況により判断する」など、具体的に記載することが望ましいです。

試用期間

試用期間あり(3ヶ月)

就業場所

(雇入れ直後) 東京本社 (変更の範囲) 〇〇支社

記載例①:(雇入れ直後)大阪支社 (変更の範囲)本社および全国の支社、営業所

記載例②:(雇入れ直後)渋谷営業所(変更の範囲)都内23区内の営業所

※    いわゆる在籍出向を命じることがある場合で、出向先での就業場所や業務が出向元の会社の変更の範囲を
超える場合には、その旨を明示するようにしてください。

就業時間

   9:30~18:30

休憩時間

12:00~13:00

休日

土日、祝日(年末年始含む)

時間外労働

あり(月平均20時間)

裁量労働制を採用している場合は、以下のような記載が必要です。

例:企画業務型裁量労働制により、〇時間働いたものとみなされます。

賃金

月給 25万円(ただし、試用期間中は月給20万円)

時間外労働の有無に関わらず一定の手当を支給する制度(いわゆる「固定残業代」)を
採用する場合は、以下のような記載が必要です。

(1)基本給〇〇円((2)の手当を除く額)

(2)〇〇手当(時間外労働の有無に関わらず、〇時間分の時間外手当として〇〇円を支給)

(3)〇時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給

加入保険

雇用保険、労災保険、厚生年金保険、健康保険

受動喫煙防止措置

屋内禁煙

募集者の氏名または名称

〇〇株式会社

(派遣労働者として雇用する場合のみ)

(「雇用形態:派遣労働者」というように派遣労働者として雇用することを示すことが必要です。)

※募集広告などの労働者の募集に関する情報を提供する場合は、掲載した時点を明示するなど、正確かつ最新の内容に保つ義務があります。