平均賃金について

令和6年1月25日  発行

平均賃金とは、労働基準法等で定められている手当や補償、減給制裁の制限額を算定するときなどの基準となる金額です。
平均賃金は、労働者の生活を保障するためのもので、通常の生活賃金をありのままに算定することを基本としています。
今月号ではこの内容について解説します。

(1) 平均賃金の算定式(原則)

平均賃金 = 算定事由発生日以前3か月間(算定期間)に支払われた賃金総額
算定事由発生日以前3か月間(算定期間)の総日数

※ 算定事由発生日は含まず、その前日から遡って3か月となります。

※ 賃金締切日がある場合は、算定事由発生日の直前の賃金締切日から遡って3か月となります。

※ 賃金締切日に算定すべき事由が発生した場合は、その前の賃金締切日から遡及します。

(2) 平均賃金の算定式(最低保障)

賃金が日給制、時間給制、出来高制及び請負制の場合には最低保障があります。

平均賃金 = 算定事由発生日以前3か月間(算定期間)に支払われた賃金総額 × 60
算定事由発生日以前3か月間(算定期間)に労働した日数 100

※(1)原則で算定した額と(2)最低保障額とを比較して、そのどちらか高い方の額が平均賃金となります。

(3) 平均賃金の算定事由と算定事由発生日

算定事由 算定事由発生日
① 解雇予告手当 労働者に解雇の通告をした日
② 休業手当 休業日(2日以上の期間にわたるときは、その最初の日)
③ 年次有給休暇中の賃金 年次有給休暇を取得した日(2日以上の期間にわたるときは、その最初の日)
④ 災害補償 死傷の原因たる事故発生の日又は診断によって疾病の発生が確定した日
⑤ 減給の制裁の制限額 制裁の意思表示が相手に到達した日

(4) 算定期間から除外される期間と賃金

下記①~⑤の期間がある場合は、その日数及び賃金額を控除して平均賃金を算定します。

① 業務上負傷し又は疾病にかかり療養のために休業した期間  ②産前産後休業期間

③ 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間  ④ 育児・介護休業期間  ⑤ 試みの使用期間(試用期間)

(5) 賃金総額に算入されない賃金

下記①~③の賃金は、平均賃金を算定する際の賃金総額から控除します。

① 臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、加療見舞手当、退職金等)

② 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(四半期ごとに支払われる賞与など、賞与であっても3か月ごとに支払われる場合は算入されます。)

③ 労働協約で定められていない現物給与(なお、労働協約によらない現物給与は違法です。)

(6) 端数処理

平均賃金は銭単位まで求め、銭未満の端数は切り捨て。実際に手当を支払うときには1円未満の端数を四捨五入します。