【Q1】一般に時間外労働といいますが、労働基準法ではどのような場合をいいますか?
【A1】労働基準法では、労働時間は原則1日8時間、1週40時間までと定められています。この法定労働時間を超えて労働をさせた場合が、労働基準法の(法定)時間外労働となり、これが割増賃金の対象になります。
【Q2】休日労働とはどのような場合をいいますか?
【A2】労働基準法では、休日は、1週間に1回あるいは4週間を通じて4日以上付与することを定めています。この法定休日に労働をさせた場合が、労働基準法の(法定)休日労働となり、これが割増賃金の対象になります。
【Q3】労働者に時間外労働や休日労働をさせる場合は、どのような手続が必要となりますか?
【A3】時間外労働や休日労働をさせるには、書面により労使協定を締結し、それを事業場を管轄する労働基準監督署長へ届け出なければなりません。労使協定において協定すべき事項は、下記①~⑥になります。
① 時間外労働又は休日労働させる必要のある具体的事由
② 業務の種類、労働者数
③ 対象期間(1年間に限る)、1年の起算日
④ 対象期間における1日、1か月、1年について、延長することができる時間数又は労働させることができる休日の日数、始業及び終業の時刻
⑤ 協定の有効期間
⑥ 時間外労働+休日労働の合計が以下を満たすこと
・月100時間未満
・2~6か月平均80時間以内
【Q4】労働者に時間外労働や休日労働をさせた場合、いくらの割増賃金を支払わなければなりませんか?
【A4】時間外労働の場合は通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を、休日労働の場合は通常の労働時間の賃金の計算額の3割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
【Q5】労働者に深夜労働をさせた場合、割増賃金を支払う必要はありますか?
【A5】原則午後10時から午前5時までの間に労働させた場合は、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
【Q6】割増賃金の基礎となる賃金から除外できる賃金はありますか?
【A6】除外できる賃金は、下記①~⑦になります。
(※ 下記①~⑦は、例示ではなく、限定的に列挙されているものです。
これらに該当しない賃金はすべて算入しなければなりません。)
① 家族手当
(※ 扶養家族等の有無や、家族の人数に関係なく一律で支給する場合等は、除外することはできません。)
② 通勤手当
③ 別居手当
④ 子女教育手当
⑤ 住宅手当
(※ 住宅の形態ごとに一律に定額で支給する場合等は、除外することはできません。)
⑥ 臨時に支払われた賃金
⑦ 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
【Q7】月給制で働いていますが、割増賃金の計算方法を教えてください。
【A7】月によって定められた賃金については、その金額を月の
所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1ヶ月平均所定労働時間数)で除した金額に割増賃金の対象となる労働時間数を乗じて得た額に割増率を掛けます。
なお、割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当、
別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、
1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金は算入されません。
(【Q6】参照)
【Q8】残業時間の計算を30分単位で行っており30分未満は切り捨てていますが、この取扱いでよろしいでしょうか。
【A8】割増賃金の計算に当たっては、1か月における時間外労働、
休日労働、深夜労働の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上の端数がある場合にはこれを1時間に切り上げることができますが、原則的には、毎日の時間外労働は1分単位で正確に計上するのが正しい労働時間管理といえます。労働時間の端数計算を、常に切り捨てで計算することは、切り捨てられた時間分の賃金が未払となるため認められていません。