賃金に関するQ&A

令和6年6月25日  発行

今月号では、賃金について、Q&A形式で解説します。

【Q1】賃金の支払方法に関する法律上の定めはありますか?

【A1】賃金については、労働基準法第24条において、(1)通貨で、
(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、
(5)一定の期日を定めて支払わなければならないと規定されています(賃金支払の五原則)。
詳細につきましては下記表をご参照ください。

(1)
通貨払の原則

【原則】

賃金は通貨で支払う必要があり、
現物支給は禁止されています。

【例外(通貨以外のものの支給が認められる場合)】

① 法令に別段の定めがある場合

② 労働協約に別段の定めがある場合

③ 「給与の口座振込に関する労使協定」を締結した上で、下記a ~cを満たしている場合は、
金融機関への振込により支払うことができます。(労働基準監督署への届出は不要)

a.   本人の同意を得ること

b.   労働者の指定する本人名義の
預金口座に振込まれること

c.   賃金の全額が所定の支払日に
払い出し得ること

④ 退職金については、本人の同意を条件に通貨支払いや金融機関への振込のほか、銀行振出小切手等により支払うことも可能です。

(2)
直接払の原則

【原則】

労働者本人に直接支払う必要があります。

【例外】

使者(妻等)に支払う場合等

(3)
全額払の原則

【原則】

賃金は全額を支払う必要があります。

【例外(賃金控除が認められる場合)】

① 法令に別段の定めがある場合
(所得税、住民税、社会保険料等)

② 「賃金控除に関する労使協定」を締結している場合(労働基準監督署への届出は不要)

(4)
毎月1回払の原則

【原則】

毎月少なくとも1回以上、周期的に到来する支払期日(例えば「毎月15日」など)を定めて賃金を支払う必要があります。

【例外】

① 臨時に支払われる賃金

② 賞与

③ 算定期間1か月を超える場合の精勤手当等

(5)
一定期日払の原則

【Q2】賃金計算の際に、残業手当や有給休暇の手当を計算すると円未満の端数が出ます。この端数は労働基準法上どの程度まで処理が認められているのでしょうか?

【A2】労働基準法上認められている端数処理方法は下記のとおりです。

(1)割増賃金の計算

① 1時間あたりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げる。

② 1か月間における時間外労働、休日労働、深夜労働の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、①と同様に処理する。

(2)平均賃金の計算

③ 賃金の総額を総暦日数で除した金額の銭未満の端数を切り捨てる。なお、平均賃金を基にして休業手当等を計算する場合は、特約がなければ円未満の端数処理は①と同じ。

(3)1か月の賃金計算

④ 1か月の賃金額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した残額)に100円未満の端数が生じた場合は50円未満の端数を切り捨て、50円以上の端数を100円に切り上げて支払うことが出来る。

⑤ 1か月の賃金額に1,000円未満の端数がある場合は、その端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことが出来る。なお、④⑤の取り扱いをする場合は、その旨就業規則に定めることが必要です。

【Q3】賃金の非常時払とは何ですか?

【A3】労働者が出産、疾病、災害その他労働基準法施行規則第9条に掲げる事由の場合の費用に充てる場合には、支払期日前であっても既往の労働に対する賃金を支払わなければならない旨が定められています。請求できる賃金は既往の労働に対する賃金になります。この場合の賃金の支払時期については定めがありませんが、非常時払ということの性質上、当然に、遅滞なく支払わなければならないと解されています。非常時払いを請求できる「非常の場合」とは、労働者または労働者の収入によって生計を維持する者が下記①~③事由に該当する場合になります。

① 出産、疾病(業務上、業務外問わない)、災害

② 結婚、死亡した場合

③ やむを得ない事由により1週間以上にわたり帰郷する場合