Q1. 「柔軟な働き方を実現するための措置」は、労働基準法第41条第2号に定める管理監督者についても講じる必要がありますか。
A1. 管理監督者も「柔軟な働き方を実現するための措置」の対象となります。そのため、事業主は、管理監督者についても他の労働者と同様に、「始業時刻等の変更」・「在宅勤務等の措置」・「養育両立支援休暇」・「保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与」・「所定労働時間の短縮」のうちいずれか2以上の措置を講じ、3歳以降小学校就学前の子を養育する期間において、これらの措置の利用を可能とする必要があります。
なお、管理監督者については、始業・終業時刻等について広範な裁量が認められていることにより、労働基準法の労働時間等に関する規定が適用除外されていますが、管理監督者であることをもって「所定労働時間の短縮」や「始業時刻等の変更」の措置を講じたことにはならず、事業主はこれらの措置を含む5つの選択肢の中から、2つ以上を選択して措置する義務がある点に留意してください。
また、労働基準法第41条第2号に定める管理監督者については、同法の解釈として、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであるとされています。このため、職場で「管理職」として取り扱われている者であっても、同号の管理監督者に当たらず、かつ、事業主が講じた「所定労働時間の短縮」の措置の利用を当該「管理職」が申し出る場合には、所定労働時間の短縮措置を講じなければなりません。
Q2. 「労働者が就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇(養育両立支援休暇)の付与」については、1年に10日以上の休暇の付与が定められていますが、付与単位を半年につき5日、1か月につき1日等とし、トータルで1年に10日以上となるような休暇を付与する仕組みにしてもよいですか。
A2. 問題ありません。「養育両立支援休暇の付与」については、1年につき10労働日以上の利用をすることができるものとすることとされています。
「1年につき」とされているため、例えば、6か月で5日、1か月で1日のように、社内制度において1年以内の期間で配分を設定した場合であっても、1年単位でみたときに計10労働日以上の休暇が確保されていれば差し支えありません。なお、1年につき10労働日に達しない制度になっている場合は認められません。
Q3. 「柔軟な働き方を実現するための措置」の個別の周知・意向確認について、事業主は、いつ、どのような内容で、どのような方法により実施すればよいですか。
A3. 3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者に対し、労働者の希望に応じてフルタイムで働くことができるよう、職場のニーズを把握した上で、「柔軟な働き方を実現するための措置」を2つ以上講じ、労働者が選択できるようにしなければなりません。
その措置については、労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間(1歳11か月に達する日の翌々日から起算して1年間(2歳11か月に達する日の翌日まで))に、
・「柔軟な働き方を実現するための措置」の内容
・「柔軟な働き方を実現するための措置」の内容の申出先
・所定外労働の制限に関する制度、時間外労働の制限に関する制度及び深夜業の制限に関する制度
について、当該労働者に対して個別に周知するとともに意向確認を行う必要があります。また、個別の周知及び意向確認の方法は、
① 面談
② 書面の交付
③ FAX の送信
④ 電子メール等の送信
のいずれかによって行う必要があります。
ただし、③、④は労働者が希望した場合のみ実施可能です。また、①については、オンラインによる面談でも差し支えありません。労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間に実施されていれば、定期的に行っている人事面談等とあわせて実施いただくことも可能です。
④の電子メール等による場合は、労働者が電子メール等の記録を出力することにより書面を作成できるものに限ります。なお、個別周知と意向確認は、「柔軟な働き方を実現するための措置」の利用の申出が円滑に行われるようにすることが目的であり、取得の申出をしないように抑制する、申し出た場合に不利益をほのめかす、取得の前例がないことをことさらに強調するなど、取得や利用を控えさせるようなことは行ってはなりません。
Q4. 「柔軟な働き方を実現するための措置」の個別の周知・意向確認について、面談による方法の場合、実施した内容を記録する必要はありますか。
A4. 記録する義務はありませんが、面談の場合は、その他の書面を交付する方法や電子メールの送信方法等と異なり、記録が残らないため、必要に応じて作成することが望ましいです。