年次有給休暇に関するQ&A

令和8年1月25日  発行

年次有給休暇(年休)とは、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、取得しても賃金が減額されない「有給」で休むことができる休暇のことです。今月号では、この年次有給休暇に関して現実に起こり得ると考えられる問題についてQ&A形式で解説します。

【Q1】従業員から2年で消化できなかった年休を買い取って欲しいと言われました

【A1】原則として年休の買い上げは禁止です。なお、退職前にまとめて年休の申出があったら拒否できません。1年で使い切れなかった年休は翌年に繰り越すことができ、新たに与えた年休に加算しますが、さらに1年使わなかった分は繰り越しできず、消滅となります。

つまり、年休の消滅時効は2年です。在職中に従業員から消滅となる年休の買い取りを求められても、労働基準法ではそれを認めてはいません。また、年休を取得しないことを理由に「皆勤手当を支給する」「ボーナスの査定を高くする」「昇進を早める」といったことも違法です。

【Q2】一斉に夏休みをとって年休としたいのですが可能でしょうか?

【A2】計画的に年休をとらせ大型連休にするのも可能です。年休のうち5日を超える分について、労使協定を結べば計画的に年休をとらせることができます(計画的付与といいます)。

例えば、年末年始や夏休みなど事業所全体で年休を使い、大型連休にすることも可能です。従業員の代表者と話し合い、会社の実情にあった一斉年休を取るようにしましょう。

【Q3】忙しい時に年休をとる従業員がいますが年休を拒否できますか?

【A3】事前に申請を受けた年休を断ることはできません。年休は従業員が休みたい日を事前に申し込めば、会社は無条件で与えなければいけません。単に「多忙だから」「代わりの人がいないから」との理由だけでは年休を断ることはできません。

ただし、どうしても会社の経営に支障をきたすという場合は「時季変更権」を使い、別の日にすることができます。

【Q4】欠勤日を年休にしたいと事後に言われた場合、どうすればいいのでしょうか?

【A4】必ずしも年休とする必要はありませんが、従業員の事情を考慮して対応しましょう。

従業員が理由もなく事前連絡をせずに会社を休むことは無断欠勤となり、事後にその日を年休にしたいとの要望があっても、それを拒否することは違法ではありません。

ただし、従業員の事情を考慮し、申出があったのなら、欠勤を年休と認めることは差し支えありません。

【Q5】年度途中に子会社へ出向した場合、年休はどうなりますか?

【A5】転籍出向者は転籍先に従い、在籍出向者は継続勤務とします。転籍出向者は、出向先と新たに雇用契約を結びます。出向元からの継続勤務とみるのは困難であり、原則として年休は引き継げないでしょう。

在籍出向者は、雇用契約は出向元と出向先の両方にあるので、これまでの勤務期間を通算し、勤務日数に応じた年休を出向先でも与えることが必要です。

【Q6】休職中の年休は必要ですか?

【A6】休職中は労働日ではないので年休を与えなくてよいです。病気やケガ、家庭の事情や留学、ボランティアなど会社を長期休職する従業員が(その間は無給)、休職日に年休を申し出ても、休職中は会社で働く義務が完全に免除されていることから労働日ではありません。

したがって休職中は年休を与えなくても違法ではありません。