カスタマーハラスメント対策の義務化

令和8年8月25日  発行

令和8年10月1日よりカスタマーハラスメント対策が義務化されます。今月号では、この内容について解説します。

(1)職場におけるカスタマーハラスメント

職場における「カスタマーハラスメント」とは、職場において行われる、

① 顧客等の言動であって、

② その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、

③ 労働者の就業環境が害されるもの
であり、①~③の要素を全て満たすものをいいます。

※電話やSNS等のインターネット上において行われるものも含まれます。

① 顧客等とは、顧客、取引の相手方、施設(駅、空港、病院、学校、福祉施設、公共施設等)の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者を指します。

(今後商品の購入やサービスの利用等をする可能性がある者も含みます。)

② 社会通念上許容される範囲を超えた言動の例

【言動の内容が社会通念上許容される範囲を超えるもの】

・そもそも要求に理由がない又は商品・サービス等と全く関係のない要求

・契約等により想定しているサービスを著しく超える要求

・対応が著しく困難な又は対応が不可能な要求

・不当な損害賠償要求

【手段や態様が社会通念上許容される範囲を超えるもの】

・身体的な攻撃(暴行、傷害等)

・精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言、土下座の強要等)

・威圧的な言動

・継続的、執拗な言動

・拘束的な言動(不退去、居座り、監禁)

(2)カスタマーハラスメントの防止のために講ずべき措置

事業主は、以下の措置を必ず講じなければなりません。

(太字は、他のハラスメントで講ずべき措置とは異なる内容のものです。)

◆事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

①カスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発する

②カスタマーハラスメントの内容及びあらかじめ定めた対処の内容(※)を、労働者に周知する

(※)管理監督者にその場の対応の方針について指示を仰ぐ、可能な限り労働者を一人で対応させない、犯罪に該当し得る言動は警察へ通報する、本社・本部等へ情報共有を行い指示を仰ぐ 等

◆相談体制の整備

③相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知する

④相談窓口担当者が、適切に対応できるようにする

◆事後の迅速かつ適切な対応

⑤事実関係を迅速かつ正確に確認する

⑥被害者に対する配慮のための措置を行う

⑦再発防止に向けた措置を講ずる

◆対応の実効性を確保するために必要なカスタマーハラスメントの抑止のための措置

⑧特に悪質と考えられるカスタマーハラスメントへの対処の方針をあらかじめ定め、労働者に周知し、当該対処を行うことができる体制を整備する

◆そのほか併せて講ずべき措置

⑨相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知する

⑩相談したこと等を理由として不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発する

※対策を講ずる際には、消費者の権利や、障害者差別解消法における、障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供義務に留意する必要があります。

※その他、自社の労働者が取引先等の他社の労働者に対してカスタマーハラスメントを行った場合、その取引先等の事業主から事実確認等の措置の実施に関して必要な協力を求められた際は、これに応じるよう努めなければなりません。