求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策の義務化

令和8年9月25日  発行

令和8年10月1日より求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます。今月号では、この内容について解説します。

(1)求職者等に対するセクシュアルハラスメントとは

求職者等に対するセクシュアルハラスメント(以下、求職者等セクハラという)とは、事業主が雇用する労働者による「性的な言動」により求職者等による求職活動等が阻害されるものをいいます。

【求職者等とは】

■ 求職者(企業の求人に応募する者)

■ 求職者以外の者であって、

・ 事業主の実施する労働者の採用に資する活動に参加する者や、

・ 教育実習、看護実習その他の実習を受ける者

【求職活動等とは】

求職者が行う求職活動や求職者に類する者が行う職業の選択に資する活動を指し、例えば以下のものが含まれます。なお、SNS等のオンラインを介したものやオンライン上で行われるものも含まれます。

(例)企業の採用面接への参加、企業の就職説明会への参加、企業の雇用する労働者への訪問、インターンシップへの参加、教育実習、看護実習等の実習の受講

性的な言動とは 性的な内容の発言及び性的な行動を指し、それぞれ以下が含まれます。

「性的な内容の発言」

・性的な事実関係を尋ねること

・性的な内容の情報を意図的に流布すること 等

「性的な行動」

・性的な関係を強要すること

・必要なく身体に触ること

・わいせつな図画を配布すること 等

求職者等セクハラの例

・ インターンシップにおいて、労働者が求職者等に対して性的な冗談やからかいを意図的かつ継続的に行ったため、
当該求職者等が苦痛に感じてインターンシップ中の活動が手につかないこと

・ 求職者等が労働者への訪問を行った際、当該労働者に性的な関係を求められ、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること

・ インターンシップ中に労働者が求職者等を執拗に私的な食事に誘い、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること

○ 求職者等セクハラは、男性も女性も、加害者にも被害者にもなり得る問題です。異性に対するものだけではなく、同性に対するものも該当します。

○ また、求職者等セクハラは、相手の性的指向(※1)又はジェンダーアイデンティティ(※2)にかかわらず、
該当することがあり得ます。(※1)恋愛又は性愛がいずれの性別を対象とするか/(※2)自己の性別についての認識

(2)求職者等セクハラの防止のために講ずべき措置

事業主は、以下の措置を必ず講じなければなりません。

(太字は、他のハラスメントで講ずべき措置とは異なる内容のものです。)

◆事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

①求職者等セクハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発する

②求職者等セクハラを行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を、労働者に周知・啓発する

③求職活動等に関するルール(※)をあらかじめ明確化し、労働者及び求職者等に周知・啓発する

◆相談体制の整備

④相談窓口をあらかじめ定め、求職者等に周知する

⑤相談窓口担当者(※)が、適切に対応できるようにする

※ 人事担当者以外を相談窓口担当者とすることも考えられる。

※ 例えば、面談時間及び場所の指定、実施体制、やり取りに用いるSNSの種類の指定等、面談等を行う際の規則など

◆事後の迅速かつ適切な対応

⑥事実関係を迅速かつ正確に確認する

⑦被害者に対する配慮のための措置を行う

⑧行為者に対する措置を適正に行う

⑨再発防止に向けた措置を講ずる

◆そのほか併せて講ずべき措置

⑩相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者及び求職者等に周知する

⑪労働者が事実関係の確認等に協力したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、
労働者に周知・啓発する