トレーニング
給与計算講座:所得税法より
給与の支払者には、所得税の源泉徴収義務があり、毎月の給与・賞与から、所得税を源泉徴収し納付しなければなりません。また、年度最終の支給時つまりその年の所得総額が確定した時点で、年末調整を行い本来課税されるべき正当な年税額を算出し、毎月の給与等から源泉徴収されている概算納税額との精算を行う必要があります。所得税法の難解な法律用語の理解が必要ですし、また所得税法が毎年のように改正されるので内容把握が大変です。各事業所の給与担当者の方にとってもっともやっかいなのが所得税法ではないでしょうか。
『MB給与管理』では、基本項目の入力さえすませれば、毎月の給与等の源泉徴収額の算出と、年末調整での年税額算出・精算、法定調書の印刷までを行います。また、所得税法の改正時点では、改正点に対応した新しいプログラムを送付していますので、安心してご使用いただけます。
しかし、『MB給与管理』を運用していく上で、所得税法の給与計算・源泉徴収に関する基礎的理解が必要なことはいうまでもありません。
8-1.扶養控除等(異動)申告書
国内で給与等の支払を受ける居住者は、給与の支払者に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しなければなりません。
この申告書に掲載された、控除対象配偶者の有無、扶養親族の数、本人が障害者・老年者・寡婦・寡夫・勤労学生に該当するかで、毎月の所得税額に違いが生じます。また「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出者は、税額計算時には月額表の甲欄の適用をうけ、未提出者と「従たる給与についての扶養控除等申告書」の提出者は月額表の乙欄の適用を受けます。*「居住者」とは日本国内に住所を有するか、現在まで引き続き1年以上日本国内に居所を有する個人をいいます。
1年未満の居住者は「非居住者」となり、源泉徴収税率は20%になります。
8-2.給与所得の源泉徴収税額表の使用区分
月額表、日額表などの使用区分は、表のとおりです。給与所得の税額表は、月額表・甲欄・乙欄、日額表・甲欄・乙欄・丙欄があります。給与所得に対する源泉徴収税額は、各種の税額表を適用して求めることになっています。が、給与等の支払に関する計算を電子計算機等の事務機械によって処理している場合には、各種の税額表のうち最も使用頻度の高い「月額表の甲欄」について、その税額計算を通常の税額表によらないで大蔵大臣が告示する方法(簡易な機械計算)によることができる特例が設けられています(所法189)。『MB給与管理』は機械計算による特例で税額を算出しています。日額表・甲・乙・丙欄適用者の所得税計算は行なえません。
税額表 | 適用する給与 | 適用する欄 |
月額表 | (1)月ごとに支払うもの (2)半月ごと、10日ごとに支払うもの (3)月の整数倍の期間ごとに支払うもの |
甲欄……「給与所得者の扶養控除等 申告書」を提出している 人に支払う給与 乙欄……その他の人に支払う給与 |
日額表 | (1)毎日支払うもの (2)週ごとに支払うもの (3)日割りで支払うもの |
甲欄……「給与所得者の扶養控除等 申告書」を提出している 人に支払う給与 乙欄……その他の人に支払う給与 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表 |
賞与 | 但し、前月中に普通給与の支払いがない場合 又は賞与の額が前月中の普通給与の額の 10倍を超える場合には、月額表を使います。 |
甲欄……「給与所得者の扶養控除等 申告書」を提出している 人に支払う給与 乙欄……その他の人に支払う給与 |
賞与に対する税額表
賞与の税額は、前月給与の課税対象額と扶養人数で、課税料率が決定されます。前月の給与計算を実行していない場合は、前月の課税対象額を手入力できます。ただし、『MB給与管理』は賞与計算から始めることはできません。
8-3.機械計算による税額計算
平成11年4月以降分の電子計算機等を使用して源泉徴収税額を計算する方法を定める大蔵省告示
別表第一
その月の社会保険料控除後の 給与等の金額(A) |
給与所得控除の額 | |
---|---|---|
以上 | 以下 | |
--- | 135,416 | 54,167 |
135,417 | 149,999 | (A)×40% |
150,000 | 299,999 | (A)×30%+ 15,000 |
300,000 | 549,999 | (A)×20%+ 45,000 |
550,000 | 833,333 | (A)×10%+100,000 |
833,334 以上 | (A)× 5%+141,677 |
(注)給与所得控除の額に1円未満の端数があるときは、これを切り上げた額をもってその求める給与所得控除の額とします。
別表第二
配偶者控除の額 | 31,667円 |
扶養控除の額 | 31,667円×扶養親族の数 |
基礎控除の額 | 31,667円 |
別表第三
その月の課税給与所得金額(B) | 税額の算式 | |
---|---|---|
以上 | 以下 | |
--- | 275,000 | (B)× 9% |
275,001 | 658,333 | (B)×18% - 24,750円 |
658,334 | 750,000 | (B)×20% - 37,917円 |
750,001 | 1,500,000 | (B)×30% - 112,917円 |
1,500,001 以上 | (B)×37% - 217,917円 |
(注)税額に10円未満の端数があるときは、これを四捨五入した額をもってその求める税額とします。
◆機械計算の特例により求めた税額と税額表による税額では差異が発生します。
機械計算の特例により求めた税額は源泉徴収税額表のそれぞれの該当欄の税額とは必ずしも一致し
ませんが、これは次のような理由によるものです。
例1)税額表の税額は、その月の社会保険料控除後の給与の金額の範囲の中間値を基にして計算してある(例えば、「93,000円から93,999円まで」の場合には93,500円として計算してあります。)のに対し、計算機による特例計算では、その月の社会保険料控除後の給与の金額そのものを基にして計算することになっています。
【計算例】その月の社会保険料控除後の給与の金額が177,600円で、控除対象配偶者と
扶養親族1人の場合
1.月額表甲欄の税額 1,310円
2.計算機による特例計算による税額 1,290円
{177,600円−(177,600円×30%+15,000円)−31,667円−31,667円
×1人−31,667円}× 9%
=1,288.71円→1,290円(10円未満四捨五入)
例2)扶養親族等の数が7人を越える場合には、税額表では7人の場合の税額を計算し、その計算した税額から7人を越える1人につき2,530円を控除することとしているのに対し、計算機による特例計算では扶養親族等の数に応じ、給所得控除後の給与の金額から常に1人当たり31,667円を控除する方法で計算してあります。
【計算例】その月の社会保険料控除後の給与の金額が413,500円で、控除対象配偶者と扶養親族7人の場合
1.月額表甲欄の税額 2,990円−2,850円= 140円
2.計算機による特例計算による税額 70円
{413,500円−(413,500円×20%+45,000円)−31,667円−31,667円
×7人−31,667円}× 9%
=71.7円→70円(10円未満四捨五入)
例3)その月の社会保険料控除後の給与の金額が113万円を越える場合には、税額表の税額では扶養親族等の数が0人の場合を基準として税率の切替えをし、しかも若干の調整が加えられており、また扶養親族等の数に関係なく同じ税率を適用して計算している部分があるのに対し、計算機による特例計算ではこのような調整をしないで、その月の社会保険料控除後の給与の金額が113万円を越える場合にも113万円以下の場合と同じ要領で計算することになっています。
【計算例】その月の社会保険料控除後の給与の金額が1,200,000円で、控除対象配偶者
と扶養親族3人の場合
1.月額表甲欄の税額 139,080円
119,130円+(1,200,000円−1,130,000円)×28.5%=139,080円
2.計算機による特例計算による税額 128,670円
{1,200,000円−(1,200,000円×5%+141,667円)−31,667円−31,667円
×3人−31,667円}×30%−112,917円
=139,082.4円→139,080円(10円未満四捨五入)
8-4.扶養親族等の数の求め方
税額表の甲欄の「扶養親族等の数」というのは、控除対象配偶者(又は老人控除対象配偶者)と扶養親族(老人扶養親族又は特定扶養親族を含みます。)の合計数をいいますが、本人が障害者(特別障害者を含みます。)、老年者、寡婦(特別の寡婦を含みます。)、寡夫又は勤労学生に該当するときは、その該当する数を加え、控除対象配偶者や扶養親族のうちに障害者(特別障害者を含みます。)又は所得者等と同居している特別障害者がいるときは、その該当する数を加えた数をいいます。したがって、次の設例では、それぞれ次のようになります。
8-5.控除対象配偶者について
控除対象配偶者の確認
年末調整を行う際には、まず控除対象配偶者の有無を確認し、控除対象配偶者がある場合は、その人が「老人控除対象配偶者」又は「同居特別障害者」に該当するかどうか、その人の合計所得金額が配偶者控除の対象となる範囲内の金額であるかどうか、所得者と生計を一にしている人であるかどうかを十分検討する必要があります。
確認のポイント
1.いわゆる内縁関係の人を、控除対象配偶者として申告していないかどうか。
2.年の中途において、次のような異動があった場合に、その異動申告が正しく行なわれているかどうか。
イ 結婚、離婚、死別により、控除対象配偶者が増減した場合
ロ 配偶者の合計所得金額が増減し、控除対象配偶者としての所得要件を満たさなくなったり、又は満たすこととなった場合
3.老人控除対象配偶者としている人が、年齢70歳以上であるかどうか。
4.同居特別障害者である控除対象配偶者の判定は正しいか。
5.年の中途で死亡した人について、控除対象配偶者に該当するかどうかの判定が正しく行われているかどうか。
控除対象配偶者の分類
本年分の控除対象配偶者は、図のように分類されます。
※肩書きの数字は親等を示します。
実線わくは血族を、点線わくは姻族を、偶は配偶者を示します。
(1)控除対象配偶者
所得者と生計を一にする配偶者(青色事業従事者として給与の支払を受ける人及び白色事業従事者を除きます。)で、合計所得金額が38万円以下の人をいいます。 注 1. 給与所得だけの場合は、本年中の給与の収入金額が103万円以下であれば、合計所得金額が38万円以下になります。 2. 公的年金等だけの場合は、本年中の公的年金等の収入金額が178万円以下(年齢65歳未満の人は108万円以下)であれば、合計所得金額が38万円以下にまります。 3. 配偶者が家内労働者等に該当する場合は、家内労働者等の事業所得等の所得金額の計算の特例が認められます。したがって、例えば、配偶者の所得が内職等による所得だけの場合は、本年中の内職等による収入金額が103万円以下であれば、合計所得金額が38万円以下になります。 ※ 上記(注)の1〜3については、「扶養親族」の場合も同様です。この場合、3の「配偶者」は「扶養親族」と読み替えます。 |
|
注 意 事 項 |
1.ここでいう「配偶者」とは、婚姻の届出をしている配偶者をいい、いわゆる内縁関係の人は配偶者に当たりません。 2.年の途中で配偶者と死別し、その年中に再婚した所得者の高所対象配偶者は、死亡した配偶者か再婚した配偶者かのいずれか一人に限られます。 |
(2)老人控除対象配偶者
控除対象配偶者のうち、年齢70歳以上の人をいいます。 | |
注 意 事 項 |
申告された控除対象配偶者については、生年月日により老人控除配偶者に該当するかどうかを確認し、控除漏れのないように注意してください。 |
(3)同居特別障害者である控除対象配偶者
控除対象配偶者のうち、特別障害者に該当する人で所得者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている人をいいます。 | |
注 意 事 項 |
申告された特別障害者である控除対象配偶者については、同居特別障害者に該当するかどうかを所得者本人に確認し、同居特別障害者に該当する場合には、控 除漏れのないように注意してください。 |
8-6.扶養親族について
扶養親族の確認
控除対象配偶者の確認と同様に、扶養親族の有無を確認し、扶養親族がある場合には、その数並びにその扶養親族一人一人の合計所得金額がそれぞれ扶養控除の対象となる範囲内の金額であるかどうか、所得者と生計を一にしているかどうか等について十分検討する必要があります。
確認のポイント
1.年の中途において、次のような異動があった場合に、その異動申告が正しく行われているかどうか。
イ 出生、子女の就職又は結婚等により扶養親族が増減した場合
ロ 扶養親族の合計所得金額が増減し、所得要件を満たさなくなったり、又は満たすことになった場合
2.同居特別障害者、同居老親等又は同居老親等以外の老人扶養親族若しくは特定扶養親族の判定は正しいか。
3.年の中途で死亡した人について、扶養親族に該当するかどうかの判定が正しく行われているかどうか。
扶養親族の分類
本年分の扶養親族は、図のように分類されます。
なお、扶養親族、特定扶養親族、老人扶養親族、同居老親等及び同居特別障害者である扶養親族の内容と、その確認に当たっての具体的な注意事項は次のとおりです。
(1)扶養親族
所得者と生計を一にする親族(配偶者、青色事業専従者として給料の支払いを受ける人及び白色事業専従者を除きます。)で、合計所得金額が38万円以下の人をいいます。 | |
注 意 事 項 |
1.ここでいう 「親族 」とは、6親等以内の血族と3親等以内の姻族をいいます。 2.ここでいう 「所得者と生計を一にする親族 」には、児童福祉法の規定によるいわゆる里子や老人福祉法の規定によるいわゆる養護老人をふくみますしてください。 |
(2)特定扶養親族
扶養親族のうち、年齢16 歳以上23歳未満の人をいいます。 | |
注 意 事 項 |
申告された扶養親族にていては、生年月日により特定扶養親族に該当するかどうかを確認し、控除漏れのないように注意してください。 |
(3)老人扶養親族
扶養親族のうち、年齢70歳以上の人をいいます。 | |
注 意 事 項 |
申告された扶養親族については、生年月日により老人扶養親族に該当するかどうかを確認し、控除漏れのないように注意してください。 |
(4)年少扶養親族
扶養親族のうち、年齢16歳未満の人をいいます。 | |
注 意 事 項 |
申告された扶養親族については、生年月日により老人扶養親族に該当するかどうかを確認し、控除漏れのないように注意してください。 |
(5)同居老親等
老人扶養親族のうち、所得者またはその配偶者(以下 「所得者等 」といいます。)の直系尊属(父母や祖父母などをいいます。)で所得者等のいずれかとの同居を常況としている人をいいます。 | |
注 意 事 項 |
1.申告された老人扶養親族については、同居を常況としているかどうか等を所得者本人に確認し、同居老親等に該当する場合には、控除漏れのないよう注意してください。 2.所得者等の直系尊属である老人扶養親族(以下「老親等」といいます。)が同居老親等に該当するかどうかは、年末調整を行う日の現況により判定しますが、例えば、次のような場合にはそれぞれ次のとおりとなります。 (1)所得者等と同居を常況としている老親等が、病気などの治療のため入院している ことにより、所得者等と別居している場合 ・ ・ ・ ・ ・ ・同居老親等に該当します。 (2)その老親等が所得者等の居住する住宅の同一敷地内にある別棟の建物に居住して いる場合 ・ ・ ・ ・ ・ ・その人が所得者等と食事を一緒にするなど日常生活を共にしてい るときは同居老親等に該当します。 (3)所得者が転勤したことに伴いその住所を変更したため、その老親等が所得者等と 別居している場合 ・ ・ ・ ・ ・ ・同居老親等に該当しません。 |
(6)同居特別障害者である扶養親族
扶養親族のうち、特別障害者に該当する人で所得者、所得者の配偶者または所得者と生計を一にするその他の親族のいずれたとの同居を常況としている人をいいます。 | |
注 意 事 項 |
同居特別障害者である控除対象配偶者の場合と同様の確認を行い、控除漏れのないよう注意してください。 |
8-7.障害者、老年者、寡婦、寡夫及び勤労学生について
障害者、老年者、寡婦、寡夫、勤労学生の確認
年末調整の計算にあたっては、給与所得者自身が障害者、老年者、寡婦、寡夫又は勤労学生に該当するかどうか、給与所得者の控除対象配偶者又は扶養親族が障害者であるかどうか、更にその数及び控除の対象となるそれぞれの要件を満たしているかどうかについて検討する必要があります。
確認のポイント
1.老年者、寡婦、寡夫又は勤労学生の控除は、給与所得者自身がこれらに該当する場合に限られますが、本人以外の人を申告していないかどうか。
2.障害者に該当する人のうちに、その障害の程度が重度で特別障害者に該当する人がいないかどうか。
3.寡婦控除を受けようとする人について、次の点が確認されているか。
イ 夫と死別した後婚姻していない人又は夫の生死不明の人については、扶養親族または総所得金額等の合計額が38万円以下の生計を一にする子を有しているか、また、有していない場合には本人の合計所得金額が500万円以下であるか。
ロ 夫と離婚した後婚姻していない人については、扶養親族又は総所得金額等の合計額が38万円以下の生計を一にする子を有しているか。
ハ 割増控除を受けられる特別の寡婦に該当する人がいないかどうか。すなわち、寡婦のうち、扶養親族である子を有し、かつ、本人の合計所得金額が500万円以下であるかどうか。
4.寡夫控除を受けようとする人は、総所得金額等の合計額が38万円以下の生計を一にする子を有し、かつ、本人の合計所得金額が500万円以下であるか。
5.勤労学生控除を受けようとする人の所得金額は、一定金額の範囲内であるかどうか、また、専修学校若しくは各種学校の生徒又は認定職業訓練を受ける訓練生である場合には所定の証明書類の添付があるかどうか。
6.障害者等に年の中途で次のような異動があった場合に、その異動申告が行なわれているか。
イ 本人が障害者(又は特別障害者)、老年者、寡婦(又は特別の寡婦)、寡夫または勤労学生に該当することになった場合又は該当しなくなった場合
ロ 控除対象配偶者や扶養親族が障害者(又は特別障害者)に該当することになった場合又は該当しなくなった場合
1)障害者(特別障害者)
所得者本人やその控除対象配偶者、扶養親族で、次のいずれかに該当する人をいいます。 1.心神喪失の常況にある人 ・ ・ ・ ・ ・ ・これに該当する人は、すべて特別障害者になります。 2.児童相談所、精神薄弱者更生相談所、精神保健センターまたは精神保健指定医から精神薄弱者と判定された人 ・ ・ ・ ・ ・ ・このうち、重度の精神薄弱者と判定された人は、特別障害者になります。 3.精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人 ・ ・ ・ ・ ・ ・このうち、障害者級が1級である者と記載されている人は、特別障害者になります。 4.精紳に障害がある人で、厚生大臣または都道府県知事からその障害の程度が国民年金法施行令別紙または厚生年金保健法施行令別表第一に定める障害の状態と同程度の状態にある旨を証する書類の交付を受けいる人 ・ ・ ・ ・ ・ ・このうち、障害の程度が国民年金法施行令別表の1級の障害の状態と同程度の状態にある人は、特別障害者になります。 5.身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に、身体上の障害がある者として記載されている人 ・ ・ ・ ・ ・ ・このうち、障害の程度が1級または2級である者として記載されている人は、特別障害者になります。 6.戦傷病者特別保護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人 ・ ・ ・ ・ ・ ・このうち、障害の程度が恩給法別表第1号表ノ2の特別項症から第三項症までである者として記載されている人は、特別障害者になります。 7.原子爆弾被爆者の医療等に関する法律第8条第1項の規定による厚生大臣の認定を受けている人 ・ ・ ・ ・ ・ ・これに該当する人は、すべて特別障害者になります。 8.常に就床を要し、複雑な介護を要する人 ・ ・ ・ ・ ・ ・これに該当する人は、すべて特別障害者になります。 9.精神又は身体に障害のある年齢65歳以上で、その障害の程度が上記1. 、2.または5.に該当する人と同程度であることの市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人は、特別障害者になります。 |
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注 意 事 項 |
現に身体障害者手帳や戦傷病者手帳に交付を受けていない人であっても、これらの手帳の交付を申請中の人やこの申請をするために必要な医師の診断書の交付を受けている日とで、年末調整の時点において明らかにこれらの手帳の交付が受けられる程度の障害がらると認められる人は、障害者(または特別障害者)に該当するのもとして取り扱われます。 |
(2)老年者
所得者本人が、年齢65歳以上で、合計所得金額が1 、000万円以下の人をいいます。
※給与所得だけの場合は 、本年中の給与の収入金額が12315790円以下であれば合計所得金額が 、1000万円以下にまります。
(3)寡婦
所得者本人が 、次に揚げる人のうち老年者でない人をいいます。 1.夫と死別しまたは離婚してから婚姻をしていない人あるいは夫の生死が不明である人で 、扶養親族または生計を一にする子がある人。 2.上記1.に揚げる人のほか、夫と死別してから婚姻をしていない人や夫の生死が不明である人で、合計所得金額が500万円以下の人。 ※給与所得だけの場合は、本年中の給与の収入金額が688万8 、889円以下であれば 、 合計所得金額が500万円以下になります。 | |
注 意 事 項 |
1.ここでいう 「生計を一にする子 」には、他の所得者の控除対象配偶者や扶養親族になっていたり、所得金額の合計額が38万円を超えている人は含まれません 。 2.離婚の場合には 、扶養親族などがなければ合計所得金額が500万円以下であっても寡婦控除の対象となる 「寡婦 」には該当しません。 |
(4)特別の寡婦
寡婦のうち、扶養親族である子を有し、かつ、合計所得金額が500万円以下の人をいいます。
(5)寡夫
所得者本人が 、次の1. 、2.および3.いずれにも該当する人のうち老年者でない人をいいます。 1.妻と死別しまた離婚してから婚姻をしていないこと。 あるいは妻の生死が不明であること。 2.生計を一にする子があること。 3.合計所得金額が500万円以下であること。 |
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注 意 事 項 |
ここでいう 「生計を一にする子 」の範囲および 「合計所得金額が500万円以下 」となる場合の給与の収入金額については、 「寡婦 」の場合と同様です。 |
(6)勤労学生
所得者本人が 、次の1. 、2.及び3.のいずれにも該当する人をいいます。 1.イ 大学 、高等専門学校 、高等学校 、中学校 、小学校 、盲学校 、ろう学校または養護学校の学生 、生徒または児童であるか 、ロ 国 、地方公共団体 、学校法人 、財団法人 、社団法人 、社会福祉法人 、健康保険組合、国家公務員等共済組合連合会 、日本赤十字社 、医療事業を行う農業協同組合連合会 、医療法人などが設置した専修学校または各種学校の生徒で一定の要件に該当する過程を履修する人であるか 、あるいはハ 職業訓練法人の行う認定職業訓練を<受ける訓練生で一定の要件に該当する課程を履修する人であること 。 2.合計所得金額が65万円以下であること 。 ※給与所得だけの場合は 、本年中の給与の収入金額が130万円以下であれば、合計所得金額が65万円いかにまります。 3.合計所得金額のうち給与所得等以外の金額が10万円以下であること 。 ※ 「給与所得等 」とは、自分の勤労に基づいて得た事業所得 、給与所得 、退職所得または雑所得をいいます。 |
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注 意 事 項 |
国 、地方公共団体 、学校法人 、財団法人 、社団法人 、社会福祉法人 、健康保険組合 、国家公務員等共済組合連合会 、
日本赤十字社 、医療用事業を行う認定職業訓練を受ける練習生が勤労学生控除を受けるためには 、扶養控除等
(異動)申告書に次の証明書を添付して提出しなければなりません。 1.その人の在学する学校等が 「一定の要件に該当する課程」を設置する専修学校若しくわ各種学校または職業 訓練法人であることを証明する文部大臣または労働大臣の証明書の写し 2.その人が1.の課程を履修する生徒または訓練生であることを証明する学校長または職業訓練法人の代表者の証明書 したがって、専修学校もしくは各種学校の生徒または職業訓練法人の訓練生が勤労学生に該当するかどうかは、 これらの証明書が扶養控除等(異動)申告書に添付されているかどうかにより判定します。 |
8-8.課税対象にならない給与
(6)勤労学生
金 銭 |
結婚・出産等の祝金、葬祭料 ・香典 ・災害病気などの見舞金、死亡した人の給与、労働基準法の規定による補償金 ・手当金等、奨学金 ・学資金 |
現 物 |
制服 ・作業服・レクレーション費用、記念品、残業食 |
8-9.非課税限度額がある手当(平成11年10月現在)
・通勤手当(1ヶ月の金額)
1.交通機関または有料道路を利用している者
1ヶ月当たりの合理的な運賃等 最高 100,000円
2.自転車や自動車などの交通用具を使用している者
通勤距離が片道35km以上 20,900円
通勤距離が片道25km以上35km未満 16,100円
通勤距離が片道15km以上25km未満 11,300円
(通貨相当額が、20,900円、16,100円、11,300円を越える場合は最高100,000円)
通勤距離が片道10km以上15km未満 6,500円
通勤距離が片道2km以上10km未満 4,100円
通勤距離が片道2km未満 全額課税
・宿日直手当1回当り3,800円以下
食事代も含む
・食事手当(1ヶ月)3,500円以下(3,501円以上は全額課税)
消費税抜きの額が3,500円以下
8-10.年末調整(平成11年10月現在)
年末調整は、年度最終の給与または賞与支払時に行います。
毎年10月頃には、国税庁より「年末調整のしかた」が送付され、各地の税務署の主催で説明会が開催され、年末調整に必要な書類(法定調書)が配付されます。給与担当者は、その年の改正点の解説や法定調書の記入方法のレクチャーを受け、年末調整の知識を深めます。また、この時期になると書店には、「○○年改正版年末調整の仕方」の本が数多く揃えられます。このように、国税庁一税務署にとって、年末調整は、確定申告と並ぶ最大のイベントですし、事業所の給与担当者にとっても、従業員の確定申告を代行しなければならないわけですから、大変な作業になります。『MB給与管理』では、年税額の計算、過不足の精算等はすべて自動計算になるので次の点にご注意ください。
(1)各種の控除申告書の配付と回収
イ 扶養控除等(異動)申告書
12月31日現在の扶養状況で年末調整を行わなければなりません。
ロ 保険料控除申告書
ハ 配偶者特別控除申告書
控除対象配偶者でなくても、特別控除の対象となります。
ニ 住宅取得特別控除申告書
住宅取得初年度は確定申告が必要です。
(2)提出期限
「給与所得の源泉徴収票」と「給与支払報告書」の提出期限は、いずれも1月31日です。なお、年の中途で退職した受給者の「給与所得の源泉徴収票」は、退職後1ヶ月以内に提出するようになっていますが、便宜上その他の受給者分と併せて1月31日までに提出する事としてもさし支えありません。
(3)提出先
「給与所得の源泉徴収票」の提出先は、給与等の支払事務を取り扱う事務所、事務所等の所在地を所轄する税務署です。また、「給与支払報告書」の提出先は、受給者の1月1日現在の住所地の市区町村です。
(4)提出しなければならない「給与所得の源泉徴収票」と「給与支払報告書」の範囲
イ「給与所得の源泉徴収票」は、受給者のすべてについて各人ごとに作成しますが、そのうち、税務署へ提出しなければならないものは、次の表のいずれかに該当<する受給者のものです。
(注1)みなし法人課税制度(いわゆる事業主報酬制度)を選択した個人の青色申告
者がその事業から受ける事業主報酬については、給与所得の源泉徴収票を提出する必要はありません。
(注2)「給与所得の源泉徴収票」は、税務署への提出の範囲とはかかわりなく、すべての受給者について作成の上、翌年2月1日まで(年の中途で退職した人の場合は、退職後1ヶ月以内)にそれぞれの受給者に交付しなければなりません。
ロ「給与支払報告書」は、イの「給与所得の源泉徴収票」の場合と異なり、すべての
受給者のものについて関係市区町村へ提出しなければなりません。
受給者の区分 | 提出範囲 | |
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年 末 調 整 を し た も の |
1.会社、その他の法人(人格のない社団や法団を含みます)役員(取締役、監査役、理事、監事、清算人、相談役、顧問、企業組合の理事長等の役職にある者をいいます。以下同じ)および現に役員をしていなくても本年中にこれらの役員であった者 | 150万円をこえるもの |
2.弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、弁護士、計理士、海事代理士、測量士、不動産鑑定士等 ※報酬、料金に該当する支払いについては、5万円を越えるもの について「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」を提出することになります |
250万円をこえるもの | |
3.上記の1.および2.以外の者 | 500万円をこえるもの | |
し な か っ た も の |
4.「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した者のうち本年中に退職した者、災害により被害をうけたため本年中の給与所得に対する源泉徴収税額の徴収の猶予を受けた者 | 150万円をこえるもの |
5.本年中の主たる給与等の収入金額が2 、000万円を越える者 | 全部 | |
6.「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しなかった者(月額表または日額表の乙欄または丙欄適用者等) | 50万円をこえるのもの |